姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 ひとり蚊帳の外にされ、真実を伏せられ、すべて秘密裏に事を進められて。オズモルトさんの言った通り、胸には烈火のごとき怒りが渦を巻く。だけど同時に重い覚悟が滲んだジンガルドの台詞に、彼の愛の真髄を見たような気がしていた。
 最後に聞いた祈るようなジンガルドの声が、鼓膜にこびりついて離れない。
 ……私は、どうしたいんだろう。
 祖国の愚かさと、待ったなしの現況を知った。ジンガルドの慈しみも身に染みた。
 その上で、私が選ぶべき道は──。
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