姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「そうだろうな。嫌われてしまうかもしれないし、もしかしたら許しが得られないかもしれない。それでも、ひとたび祖国が進軍してきた事実を伝えれば、フィアンナは陣頭指揮を執る俺と共に行くと言って聞かないだろう。俺が止めたところで、きっと彼女は光の加護を盾に向こう見ずな行動を躊躇わない。俺は彼女に、残酷な光景を見せたくないんだ」
「ジンガルド様……」
「すべては俺のエゴだと分かっている。それでも、彼女に血なまぐさい戦の匂いを知って欲しくない。なにより実の父親と兄が捕縛される場面を、彼女の目に映したくない」
……これが、ジンガルドの願いなのか。
ここまで聞き終えた私は、震える膝を叱咤してそっと踵を返す。心臓がバクバクと張り裂けそうな音を立てていた。
ベアグラスに目線だけでお礼を伝え、扉を背に歩きだす。
「ジンガルド様……」
「すべては俺のエゴだと分かっている。それでも、彼女に血なまぐさい戦の匂いを知って欲しくない。なにより実の父親と兄が捕縛される場面を、彼女の目に映したくない」
……これが、ジンガルドの願いなのか。
ここまで聞き終えた私は、震える膝を叱咤してそっと踵を返す。心臓がバクバクと張り裂けそうな音を立てていた。
ベアグラスに目線だけでお礼を伝え、扉を背に歩きだす。