姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 脳裏に、急なレガロン王国行きをすんなりと受け止め、快く送り出してくれたフィアンナの笑顔が過ぎる。
 かつて彼女は『国民が喘いでいる現実を突きつけられたら、どうしようもなく胸が苦しい』と、祖国の民草を思い細い肩を震わせていた。その時の姿が、痛みを伴いながら思い浮かんだ。
 国境から軍勢を追い払うだけならば、副官の言うように農民兵への配慮が叶う。しかし、王宮の制圧を目標に、王都に続く道を切り開くならば少なくない犠牲が必須だ。
 それでも、有耶無耶のまま現王政権を継続させることに、サドニア神聖王国の未来はない。王国の未来のために、胸の痛みを振り切るようにグッと拳を握り込み、出撃の指示を叫ぼうとしたその時──。

 ──リンッ、リンッ。

 澄んだ音が耳を打つ。次いで、光の粒子がパァアアッと広がり、広大な平原で対峙する両陣営を包み込む。
 これは──!
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