姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 重大な条約違反に際しサドニア神聖王国が『至高の華を降嫁させるから許してくれ』とこんな内容の書状を送ってきた時、俺は断固拒否しようとした。ところが俺の思いに反し、大臣らは大盛り上がりでこれを議会にかけた。
 俺が皇帝になって、真っ先に行ったのが先代皇帝時代の悪しき独裁の廃止だった。そうして導入した議会制。
 よりよく民意が反映される公平で公正な政治制度は、国民から圧倒的な支持を得て、今では賢帝と称えられるまでになった。
 俺自身、己の功績を誇らしくも思っている。それがまさか、ここにきてこんな形で足を掬われることになろうとは。
 議会の閉会後、逃げるように議会場を退出する。
 己の意には添わぬ──しかし、民意によって決まった覆せない決定。思うところは多い。少なくとも、俺に盛り上がる大臣らの無駄話に付き合うだけの気力はなかった。
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