姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 部屋の奥へと足を進めると、窓際に置かれたひと際大きなベッドに視線が留まる。
 今日は初夜だ。当然、これからここでジンガルドとそういうことになるわけで。
 意識したらカァッと頬に熱が上り、喉がゴクリと鳴った。
 大きなベッドから目を逸らし、顔の火照りを冷まそうと足早に脇を通り過ぎて窓に向かう。カーテンの隙間を薄く開けて仰ぎ見れば、どこまでも遠く星空が広がっていた。
 ……綺麗ね。
 日本でビルの隙間から見上げたそれより、サドニア神聖王国の離宮の庭で寝ころんで眺めたそれより、ここから見る空が一番美しいと思った。
 幾万の星々を眺めながら、前世のこと、幼少期のこと、そしてジンガルドとの出会い、ここに至るまでのあらゆる出来事を思い返していた。
 ──カタン。
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