姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「……エリック。常々気になっていたのですが、あなたが『惚れる』対象はジンガルド様ですか? それともフィアンナ様ですか?」
 なんだか続きを聞くのが楽しみなような恐ろしいような会話が繰り広げられているようなので、声はかけずにスルーした。
 数歩進んだところで、隣のジンガルドがピクッと口もとを引きつらせる。もしかすると彼の耳には会話の続きが届いたのかもしれないが、こちらもスルーを決めた。
 その後も多くの列席者から祝福され、会話を楽しみ、私とジンガルドの幸せな挙式が無事に幕を閉じた。

 その日の夜。
 入浴を済ませて薄い寝衣に身を包んだ私は、夫婦の寝室に入った。ジンガルドはまだ来ていないようだ。
 ここは夫婦で暮らすにあたり、ジンガルドと一から調度を整えた。やわらかなクリーム色の壁紙に、木目調で統一した家具を置き、とてもシンプルで居心地のいい空間になっている。
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