姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 咄嗟に、目の前の逞しい肩に縋りつく。彼はまるで重さを感じさせない足取りで、私を横抱きにしたままベッドに向かう。
 そっと私を横たえ、彼もベッドに乗り上がる。ギシリとベッドが軋んだ。
「フィアンナ」
 彼は私の顔の横に腕をついて、私の上に覆い被さる。見上げると色欲にけぶる金の双眸とぶつかって、ぞくぞくした。
 彼は自重を支えるのと逆の手で私の頬を包み込むと、親指のはらで下唇をなぞりながら告げる。
「君の全部がほしい」
 体の奥にジンッと熱が溜まる。
 長い夜の始まりの予感に慄きながら、小さく頷いて彼の首にキュッと腕を回した。すぐに、噛みつくような口付けが降ってくる。
 そこから私は、嵐みたいに激しい彼の愛に翻弄された。
「あ、……んっ」
 唇からまともな意味をなさない喘ぎが漏れる。寝衣はとっくに脱がされて、生まれたままの姿を彼の目に晒していた。
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