姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「詭弁です。ほら、いつまでも寝ころんでないで起きてくださ──うわぁあ!」
 助け起こそうと差し出されたアルフリードの手を握ると、力を込めてグイッと引っ張る。
 アルフリードはバランスを崩し、目論見通り私の隣にゴロンと転がった。
「っ、母上!? 僕まで草だらけになってしまったじゃないですか!」
「ふふっ、たまにはいいじゃないの。しばらく、お別れになってしまうんだから」
 かつて私が暮らしていた寂れた離宮は改修し、今は寄宿制の国立学校として生まれ変わっている。アルフリードはこれから二年間、ここで学ぶのだ。ちなみに入学式と生徒の入寮日はまだ数日先なので、現在は私たち以外の人影はない。
「まったく、いい加減子離れしてください」
 そう言って唇を尖らせながらも、アルフリードは薄っすらと頬を染めて私の隣に並んで横になったまま。どうやら、日向ぼっこに付き合ってくれるらしい。なんだかんだ優しい子なのだ。
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