姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 ホッと安堵の息を漏らす。しかし、とてもではないがここから食べ歩きを楽しむ気にはなれず、なにも買わぬままトボトボと重たい足を引きずって帝宮にとんぼ帰りする。
 帰りの足はないので、ひたすらに歩く。
 ……ジンガルドは、どういうつもりだったんだろう。たまたま目にした艶やかな金髪が気に入って、強引なナンパを仕掛けてきたのだろうか。
 正面から顔を突き合わせてしまったのは正直痛かった。けれど、彼は私の顔を知らないし、金髪紫目の女を見たからと即座に光の乙女やら至高の華やらをイメージする人はいない。この国で紫目は珍しいが北方では稀に現れる。淡い色の金髪もまたしかりだ。
 こんなふうに悶々と考えを巡らせながら、なんとか離宮の自室に帰り着いた時には、精も根も尽き果てて満身創痍。当然足は棒のようになっていた。
< 51 / 223 >

この作品をシェア

pagetop