姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「物事の本質を見極めるのよ。まず、あなたの真に欲しいものはなに? 何人も女を侍らせて家臣におべんちゃらを言わせて天狗になって、息子たちの骨肉の争いをふんぞり返って眺めているだけの男からの評価? あなたの価値を、そんなつまらない男からの評価で決められてしまっていいの?」
 目が覚めるような思いだった。
 少女は、父をつまらない男と一蹴する。真っ直ぐに俺を見つめる澄み切った紫の瞳を前に、返す言葉が出ない。
 そもそも俺は、父の治世がよくないことを分かっていた。同様に、兄たちの素行が悪いことも。それらを知った上で、変えていきたかった。それには中央で重用される立場にならなければ始まらないと思っていた。
 だけど、少女の言うようにタイラント帝宮は腐り切った魔窟だ。そんな正攻法の通じる相手じゃない。優秀さを見せつければ、淘汰される。
 ……あぁ、そうだ。あそこは、そういう場所だった。
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