姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「二度言わせるな。俺は一分だって猿に時間を割く気はない! 視察に行ってくる」
 第四王女が悪いわけではない。しかし、痛みを伴う俺の決断がいともたやすく踏みにじられ、今は真正面から第四王女と向き合うだけの気力がなかった。
 心が弱っていた。現実逃避だと分かっていても、初恋の少女を追い求めずにはいられないほどに。
「ジンガルド様……!」
 オズモルトの呼びかけを無視し、マントを手に政務室を後にした。
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