姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
長じて母の苦労も知った。母のように日陰の身におかれ、苦しむ女性の姿は絶対に見たくなかった。だから、男女の愛が育たなくとも、子に恵まれなくとも、それでも俺の妻は正妃ひとりと決めた。
今ならば分かる。あれは、たしかに恋だった。
俺は身元も本当の名前すら分からない、幼い時分にほんの一時共に過ごしただけの少女に恋をしていた。そして、その淡い恋心すらも、安寧の治世を維持するために封じた。
貞節はもとより、少女との記憶さえも胸の奥底に沈め、妻となる人に他の女の影は一切ちらつかせない。これが政略で娶る女性に対する俺の精いっぱいの誠意だったのだ。
それなのに、妻となるべく俺のもとにやって来たのは、意思の疎通ができるのかすら怪しい女性で。
今ならば分かる。あれは、たしかに恋だった。
俺は身元も本当の名前すら分からない、幼い時分にほんの一時共に過ごしただけの少女に恋をしていた。そして、その淡い恋心すらも、安寧の治世を維持するために封じた。
貞節はもとより、少女との記憶さえも胸の奥底に沈め、妻となる人に他の女の影は一切ちらつかせない。これが政略で娶る女性に対する俺の精いっぱいの誠意だったのだ。
それなのに、妻となるべく俺のもとにやって来たのは、意思の疎通ができるのかすら怪しい女性で。