姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 思い直した私は、食堂に向かうべく扉に踏み出しかけた足を、窓の方へと方向転換した。
 私ってばありもしないことに気を回して焦って、なにをやっているんだか。これはお昼ごはんの前に、少し外の空気を吸って気分転換した方がよさそうだ。
 掃き出し窓からテラスに出て、スロープで前庭に下りる。トンッと芝生の地面を踏み、グッと大きく伸びをした。
 私の姿を見るや、花たちが歓迎するようにリンッ、リンッと音を鳴らして迎えてくれる。
 私が離宮でのびのびと過ごしているから、花たちも生き生きと咲く。とても綺麗で目の保養ではあるのだが。
「すごいわね。みんな、すごく綺麗よ! ……でも、ほどほどでお願いね?」
 本来ならそろそろ咲き終わりに差し掛かるはずなのに、ますます瑞々しくピンッと花弁を広げる一輪をちょんとつついて囁けば、「つい張りきりすぎちゃった」とでもいうように小さくリンと鳴り、ちょっぴり花弁を寛げた。どうやら、少し肩の力を抜いてくれたようだ。
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