姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 苦笑いで肯定され、身の置き所がない。
「頭を上げてください。結果的に私は阿呆ではないですが、サドニア神聖王国がそんな私を騙し討ちのようにこの国に寄越してきたことは事実です。サドニア神聖王国の方がよっぽど悪いですよ。特に、川での私の素行を見ていたのなら阿呆という噂を鵜呑みにするのも当然で、なのであなたに謝ってもらうことはありません」
 顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で告げるのがやっとだった。
「だが、このように離宮に押し込めてしまったことは本当にすまなかった」
「そんな、侍女の皆さんもエリックさんもとてもよくしてくれて。私がここで窮屈な思いをしたことは一度もありませんよ。とても快適に過ごさせてもらっていました」
 語った言葉に嘘はなかった。
「……だけど、そうですね。帝宮に着いた時あなたが出迎えてくれなかったことや歓迎のメッセージひとつなかったことには、少し落胆しました」
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