姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 私に対し低姿勢なジンガルドを前に気が緩んでしまったのか、つい本音がぽつりとこぼれた。
 ジンガルドが黙り込んでしまったので、もしかして気を悪くさせてしまったかとその表情を窺う。彼はなにかに耐えるように目を瞑り、グッと唇を噛みしめている。
 怒らせてしまったかとビクビクしていたら、瞼を開いたジンガルドが揺れる瞳で私を見つめ、乞うように告げる。
「どうか俺にチャンスをくれないか?」
「え?」
「俺は始まりを間違えた。だが、どうしてもあなたと夫婦としてやって行きたいのだ。だから俺に、挽回のチャンスを与えてほしい」
 予想以上に誠実な反応に驚きつつ、告げられた言葉の意味を鈍い頭で考えてみる。
 彼は裁可を待つように私の言葉を待っている。その姿を見るに、機嫌を取ったり体裁を繕ったりせず、私の気持ちを正直に伝えても大丈夫だろうと思えた。
 ひと呼吸おいて唇を開く。
< 96 / 223 >

この作品をシェア

pagetop