姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「フィアンナ。遅くなってしまったが、よく来てくれた。君を迎えられて嬉しい。タイラント帝国は君を歓迎する」
 ジンガルドはそう言って、私の指先を手のひらで包み込んだ。
 シンプルなメッセージが心にしみる。
 サドニア神聖王国ではずっと厄介者で、常にビクビクしていた。そんな私に居場所ができる。
 目頭がジンと熱くなり、不覚にも涙が出そうになった。
「これからよろしくお願いしますね、ジンガルド」
 声が震えそうになるのをなんとか堪え、繋がれたままの彼の手をそっと握り返した。

***

 フィアンナをエスコートして、庭から食堂に場所を移った。
 給仕を全員下がらせ、俺が手ずから料理をよそおうとしたら、フィアンナが慌てたように声をあげる。
「待って。私がやるわ」
「いいや、俺がやりたいんだ。フィアンナは座っていてくれ」
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