すべてはあの花のために④

「お友だちに、心配をかけないように……?」

「これからわたしはきっと、みんなに心配と迷惑を掛けてしまうんです。でもそれを、わたしではどうすることもできないので、もしそうなっても心が崩れないようにしたくて」


 首を傾げている三人に、「詳しく言えなくて申し訳ありません」と謝罪を入れる。


「ただわたしは、みんなが大好きで、絶対に失いたくない彼らを傷つけたくないだけなんです」

「あなたが、そうさせてしまうかもしれないってこと?」

「……そうならなければいいなとは、思っています」

「それって一体……」

「でも心を鍛えたい一番の理由は――」


 彼らの前で、ずっと笑えるようにしておきたいから。


「上手く笑えない時が来るかもしれない。笑えてなかったら、みんなにもっと心配を、迷惑を掛けてしまうから。それだけは嫌なんです。だから……」


「よろしくお願いします!」と、葵は三人に頭を下げる。


「……その選択が正しいものなのか、ワシにはわからん」

「すみません。話せないことが多くて」

「いいんじゃ。人それぞれ悩みもあろう。……アオイさんは、自分自身と向き合わんといかんな」

「自分自身、ですか?」

「弱いと思っているその心とじゃ。無理に隠すことが強くなることではない。どう向き合っていくかじゃ」


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