すべてはあの花のために④
「はあ。……私は、よう知らん子にまで話すつもりはない」
「では、やっぱりわたしは席を外して」
立とうとすると、何故かチカゼに腕を取られる。
「チカくん……?」
「何を話そうとしてんのか知んねえけど……」
チカゼは葵の腕を掴んだまま、病室を出ようとする。
「オレがここまで強くなれたのはこいつのおかげだ。オレをここまで連れてきてくれたのも。……オレの大事な奴を、余所者扱いすんじゃねえ」
そして、そのまま扉から出て行こうとしたら、「待ちんさい」と声が掛かった。
「んだよばばあ」
「いいから戻ってこい。別に余所者扱いしたん違うから」
チカゼは首を傾げて葵を見る。葵はただ、ふわりと「ありがと」と微笑んだ。
照れくさくなったのかそっぽを向かれたけれど、掴まれている手には少しだけ力が入る。
「イチャこいてないで、さっさと戻ってこい」
別にそんなつもりはなかったので、二人ダッシュで着席。