すべてはあの花のために④
「まさか、皇で雇ってもらえることになるとは、思ってもみなかったけどな」
「それで、今に至ると言うわけですね」
「そうだな。でも、まさかアキの友達としてチカゼくんを紹介されるとは思ってもみなかったけどな」
カエデは少し嬉しそうな、寂しそうな。そんな顔をしていた。
「……その、たくさんの社員の仕事場を探すのに、邪魔だったからチカゼを私のところへ預けた」
祖母にそう言われてチカゼは、寂しそうに俯く。
「そう言ってくれって、二人に頼まれたんや」
「……は?」
祖母の言葉に、チカゼはぽかんと口を開ける。
「チカくん。二人はね、君のことを守っていたんだよ」
「……何、言って……」
「チカちゃん。二人は、ずっと脅されていたの」
「……?! どういう、ことだよ。それ!」
今にも泣き出しそうなチカゼに、アカリとサツキは視線を交わして話を続けた。