すべてはあの花のために④
二人のところに、脅迫のメールが届いてたみたいなんだ。
内容は、詳しく聞いてはいない。でもイタズラでも何でもなく、きっと二人に何かしらの恨みがあるんじゃないかと思った。
メールには必ず、君の写真が一緒に送られていたと聞いたから。
二人はそれが怖かった。自分たちならまだしも、君に何かあったらと。
最悪な事態だけは避けられるだろうと、ひとまずは小学校を桜にして。
自分たちに何かあったら……俺らにも、そう言っていたよ。きっと、それはカエデくんのところもだろうけど。
見ていてくれって。
目を離さないでくれって。
……そう、言ってた。
二人が君を迎えに行けなかったのは、きっとその脅迫があったから。
もちろん警察には言ったみたいなんだ。でも、事件性がないからって、ちゃんと調べてはくれなかった。
それが、永遠にも思えるほど続いた。本当に長い間。
あいつらは自分の子どもにも会いに行けず、ただ送られてくる写真だけを、見つめることしかできなかった。
そしてチカくんが小学校3年生に上がった時。本当にこのままだったらチカくんに何か起こってしまうと思った二人は、しばらく身を隠すことにした。
それでも二人の気休めにしかならなかったけどね。取り敢えず君が無事なら、二人はそれでよかったから。
だからチカくん、君のことを、俺らは頼まれていたんだ。しばらく君のことを、よろしく頼むよって。
でも、二人はもう帰ってこなかった。交通事故で、亡くなってしまった。
その時の犯人は、すぐには見つからなかったらしいんだ。でも何年か後に捕まった犯人が、二人を脅迫し、会社を内側から壊した奴だとわかった。