ことりは優しく癒される
もう放っておいてくれてもいいのに、羽村もお人よしなのか私の愚痴に付き合ってくれる。
背が高くて、きりっとした眉に切れ長の二重、通った鼻筋と薄く整った唇。ツーブロックの髪型をした見た目はデキる営業職そのもので、やたらモテる。
安達の優し気な容姿とは正反対の端正な見た目だ。
なのに、彼女ができた話を聞かない。
きっと私に遠慮して恋バナをしないでいてくれてるのかもしれないけど。
それに軽口は叩いても、けして冷たいわけじゃない。適度な距離感でいつも気長に話を聞いてくれる。私の片想いを知る唯一の男性の同期として、すごく助けられている。
私はお酒もアテも頼まず、甘味でやさぐれた心を癒そうと頼んだデザートのアイスも少し解けかけている。
口にもせず、ただただスプーンでつつくだけ。
それを見て羽村はまた呆れている。
「食わねーのかよ」
「食べるよ」
見かねた羽村が空になったジョッキを避けて、私のスプーンを奪った。