ことりは優しく癒される
ありがとうと微笑んで受け取ったとき、ふと目についた。
彼女の左手薬指に、小ぶりの宝石が乗った指輪がはめられている。
ドクンと胸がざわつく。
息が止まりそうになるのを落ち着かせて呼吸を整えた。
「真嶋さん、それってもしかして?」
薬指を指さしてそう言うと、彼女は恥ずかしそうに頷いた。
「あ……はい、実は先日婚約したんです」
一瞬で目の前が真っ暗になる。
いつか聞くかもしれないと思っていた言葉をこの瞬間に聞いてしまい、手が震えそうになる。
分かっていたけれど、実際耳にすると衝撃が走った。
「そ、そうなんだ。おめでとう! 安達もとうとうかぁ」
精一杯の笑顔で彼女におめでとうを言ってみたけれど、うまく笑えているのかどうか分からない。
けれど真嶋さんははにかみながら指輪をはめた手を膝に置き、「ありがとうございます」と小さくお礼を述べた。
彼女のその姿がとても清楚で可憐に見えて、私は眩しくて思わず目を細めてしまった。