すべてはあの花のために⑤
「(きっとみんな、海外とか行きたかったんだろうなあ)」
海外には行けない。……いいや。
正確には『行きたくない』のだが、国内でも行けない場所が葵にはある。
「(そういうのも理事長はきちんと考慮してくれてるから、ほんと、有難いや)」
決して理事長に強要しているわけではない。それでもこうして自分のことを思って修学先も検討してくれたりするので、そんなちょっとしたやさしさに、彼が子どもっぽいことをたまに忘れてしまうのだが。
そして本日は月曜日。四泊五日の修学旅行は、月曜日の朝旅立ち金曜日の夜に帰ってくるという、平日一週間丸ごと使ったスケジュール。
そして月曜日は始発。金曜日は最終で帰ってくるという、遊びまくりな修学旅行となりそうだ。
……あ。ちなみに、修学旅行といってもほぼ旅行のようなもので、クラスのみんなでどこかの施設を見学するとか、そんなものではない。ただ、旅行で学んだことはレポートにして提出をしなければならないのが難点ではあるが。
始発で旅立ったため、すでに多くの生徒が飛行機で爆睡中。葵は、自分が着ていたカーディガンを寝ているキサへ掛けてあげた。
「……沖縄、か……」
葵の呟きはすぐに溶けてなくなった。