うしろの正面だーあれ



『何だ、どうした!?』



体育教師が、すぐさま駆け寄ってきた。



気まずそうな顔をする杏奈と早織。



『咲子にパスしようとしたら、ボールが破裂しました。』



『…は?
何かしたのか?』



咲子に目を移す。



『………………。』



『おーい?聞いてるのか?』



『あっ…え?』



『何かしたのかって聞いてるんだ。』



『私はしてませんけど…』



『…そうか。
怪我は なかったか?』



『大丈夫です…。』



『あ、怪我してるじゃないか。
保健室に行って、手当てしてもらいなさい。』



『はい…。』



言葉だけを聞けば、教師の言葉は心配しているように聞こえるかもしれない。



しかし、咲子には、煩わしいから早くどこかへ行けと言われているような気がしてならなかった。



『…よーし、みんな!
次はドリブルだ!』



咲子は感じていた。



ボールが破裂したことで、より一層 疑いが深まったこと。



もう誰も相手にはしてくれないであろうこと。



怖がって近付きもしないであろうことを…。



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