うしろの正面だーあれ
そして、咲子は家に連れて帰られた。
そこには、家で待機していた母と弟が居た。
2人とも涙を流している。
玄関で立ちすくんでいた咲子に向かって、母親が飛んでくる。
咲子は、怒られる…叩かれる…と思い、目をギュッと強く瞑った。
すると、懐かしい 母の匂いがした。
何の匂いだろうか。
薄い化粧品の匂いに、シャンプーの匂い…。
昔、咲子も母の匂いに憧れたものだ。
咲子は、彼女の匂いが大好きだった。
優しくて、少しだけ痛い。
咲子は、母親の腕の中に居た。
『無事で良かった…。』
母親は、咲子の左肩から呟いた。