うしろの正面だーあれ
目の前に倒れているのは、紛れもなく佐和の母だった。
『ぉ…母さん…。
お母さん…やだっ!!!』
『うるっせぇなぁ!
佐和!何 騒いでんだ!』
そう言って、千鳥足の赤ら顔で様子を見に来た父親も、予想外の出来事に動揺した。
『きっ…救急車…!』
父の声で我に返り、佐和は受話器を取る。
…が、出てこないのだ。
何番だったか思い出せない。
手元を見ると、母がもしものときの為に書いていた“救急車 119番”の文字が目に飛び込んできた。