うしろの正面だーあれ



母の火葬が始まると、蜘蛛の子を散らしたように、親戚連中は その場を離れた。



佐和も、その様子を冷めた目で見た後 外に出た。



少しすると、煙突から煙が上がった。



人が焼ける、嫌な臭い。



その臭いに、佐和は少し酔ってしまった。






どれくらい経っただろうか。



数時間程だろうか。



もしくは、そんなに経っていないかもしれない。



だが、佐和にとって、あの臭いをかいでいた時間が どれ程 長く感じたことだろう。



煙突から出る煙が、母を焼いた煙だと知っていたのだろうか。



いや、知るはずはない。



知るはずはないのだが…



煙突の煙を見ながら流した涙を見れば、あるいは知っていたのかもしれない…。



それは、佐和自身にしか分からない。



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