うしろの正面だーあれ
廊下でタケルが来るのを待っていた隆史は、窓の枠に肘をつきながら溜め息を洩らした。
何か…意味があったんだろう…。
理由もなく暴力を振るうような奴じゃない。
何か…何か意味が…
『隆史。』
後ろから聞こえた声に、隆史は振り返る。
『…タケル。』
タケルは口で言わずに、再び目で促した。
今度はタケルが前を歩く。
隆史は、タケルと肩を並べることも出来たはずだ。
しかしタケルの後ろを歩いたのは、彼に対する罪悪感からだろうか。
タケルのことは信じている。
けれど、ほんの一瞬 彼を疑ってしまった。
タケルの行動に裏があることなど、冷静に考えれば分かることだ。
しかし、自分は冷静になれなかった。
それどころか、タケルの考えていたシナリオを、ぶち壊しにしてしまい兼ねなかったのだ。