うしろの正面だーあれ
『楓っ…!!!』
叫ぶことしか出来ない。
頭が回らない。
ピクッ
鹿が顔を上げ、警戒しながら遠くを見る。
動物達に緊張が走る。
ピピーッ
バサバサバサッ
ドドドドド・・
タケルは訳が解らず、動物達が一斉に逃げていくのをただ見ていた。
それよりも、今は楓だ。
『楓ぇ…。』
情けない声しか出ない。
しかし、今は頼れるのは自分しか居ない。
タケルは両手で自身の頬を平手打ちし、気合いを入れると頭を整理し始めた。
『えっと…』
楓の額に手を当てる。
母が自分にしてくれたように。
『…うわ、すごい熱…。』
この寒空の下、眠ってしまったからだろう。
風邪を引いたようだ。
それも高熱の。