うしろの正面だーあれ
しかし、憂の居る場所を訊かなかった。
沙良は何処をともなく彷徨った。
「亀地…沙良さんだね?
刑事の佐原です。」
ベージュのロングコートを羽織った男が、警察手帳を見せた。
佐原という男は、沙良の両頬に貼られたガーゼを見た後 視線を落とし、左手首に巻かれた包帯を見た。
その視線に気付き、沙良は左手首をパッと右手で隠す。
「その傷は、鶴見 一喜に?」
「!」
その言葉に、沙良は動揺を隠せない。
「捕まったんですか…?」
「ああ。」
「…っ……………」
これじゃあ、憂が彼を救おうとした意味が無い…。
「違います…。」
「え…?」
「手首の傷は…あたしが勝手にやっただけです…。」
「だけど、その顔の傷は彼がやったんだろう?それだけでも充分 罪になるんだよ。」
「………………。」
「詳しい状況を話してくれるかな?」