うしろの正面だーあれ
ガラッ
「席に着け〜!」
担任が教室に入るなり叫んだ。
誰もが、助かった…と思いながら、クモの子を散らしたように席に着いた。
クラスが静かになるのを待って、担任は深刻な面持ちで話し始めた。
「えー…もう知ってる奴も多いと思うが、昨日、鶴見と亀地が入院した。…鶴見の兄貴が刺したそうだ。」
ざわつきもせず、クラスは担任の話を黙って聞く。
「鶴見の兄貴は逮捕された。
…幸い、亀地は昨日中に意識を取り戻したそうだが、鶴見はまだだ。…危険な状態らしい。」
ザワッと、ここで初めて沈黙が破かれた。
噂は色んなものが ついては落ち、ついては落ちる。
そのため、噂から確かな情報を掴むことは容易ではない。
つまりは、クラスのほとんどが知らなかったのだ。
憂が、危険な状態にいることを。
…そんなことも知らずに、テレビだのワクワクするだのと騒いでいた自分達が恥ずかしい。
そんな羞恥心が、教室の中を動めいた。