うしろの正面だーあれ
「…さぁ、もういいよ。憂くんのお見舞いに行っておいで。
病室に移されたみたいだよ。
まだ個室だけどね…。」
その言葉に隠された2つの意味。
状態が落ち着いた為に、ICUから病室に移されたこと。
もう1つは、数名の患者が共同で使う大部屋ではなく、個室であること。
それは、憂の状態が芳(カンバ)しくないことを意味していた。
そんな2つの意味を一瞬で解した沙良は、少し複雑な笑みを見せ、刑事に軽く会釈した。
ナースステーションで憂の病室を訊き、道に迷いながらもなんとか辿り着いた。
病室の前で少し躊躇ったが、やがて扉の引き戸に手を掛けた。