うしろの正面だーあれ
「…ねぇ、腕、大丈夫?」
声色を変え、隆史の腕に絡み付く。
「大丈夫。」
そう言って、隆史は するりと かわした。
自分のテクが効かなかったことに少しムッとしたが、彼女は懲りずに絡み付く。
「…悪い、痛いから触るな。」
そう言って、隆史は彼女の手を退けた。
「…大丈夫って言ったじゃん。」
独り言のように呟き、諦めたように溜め息を吐いた。
ガラッ
「…あれ?先生居ないみたい。」
先程までは居たのだろう、エアコンもついていれば電気もつけっぱなしである。
「…座って。
とりあえず消毒しよ。」
「…あぁ、サンキュ。」
そう言って、隆史は丸椅子に座り、袖を捲り上げて左腕を差し出した。
「…しみるかもよ?」
言って、消毒液を含ませた綿をピンセットでつまみ、チョイチョイと傷口に触れた。