うしろの正面だーあれ
「咲子、おはよ。…入院中はお見舞い来てくれてありがとね。」
「…へっ!?あっ…沙良!?何で!?」
突然 現実に引き戻された咲子は、状況が理解出来ずにいた。
「どうしたの?ぼーっとして。
昨日、退院したんだよ。」
慌てる咲子をクスクス笑いながら、沙良は優しく答えた。
「…そっかぁ。おめでとう。
…鶴見くんは?まだ…?」
躊躇いがちに訊くと、やはり沙良は哀しそうな顔をして頷いた。
「そっか…。
早く意識、戻るといいね…。」
「うん…。」
「…あれ!?沙良じゃん!」
しんみりした空気の中、明るい声に、咲子と沙良はハッとした。
声の主は朝子であった。
「朝子、おはよ。」
沙良が言うと、朝子も「おはよ!」と言った。
「もういいの?平気?」
朝子が心配そうに訊くと、沙良は左手首にはめたリストバンドを見せて、「これがあるから大丈夫!」と言った。
そんな沙良を朝子は微笑ましく見ていたが、咲子は再び別世界へと飛びかけていた。