うしろの正面だーあれ
沙良の瞳には、強い意志が宿っていた。
それを、隆史も気付いていた。
「…やっぱ こっちな。」
そう言って、スポーツドリンクを渡す。
沙良は、ありがとうの代わりに小さく微笑んだ。
「一喜くんが知ったらどうなるんだろ…。」
ズズッと鼻をすすって、沙良は空を見上げた。
「本当は、憂のこと大切にしてたんだもん…。なのに…自分のせいで死んだなんて知ったら…」
じわっと涙が溢れてくる。
ツンと鼻が痛む。
「何で…こんなっ…」
涙は枯れることを知らない。
そんな沙良に、隆史はもう背中を擦ってやることも、肩を抱いてやることも出来なかった。
沙良が、そうさせなかったから。