うしろの正面だーあれ



翌日の教室は、いつも以上に騒がしかった。



教室は騒がしいのだが、異様に暗い。



朝っぱらから涙を流す者が続出していた。



その間を縫って席に着く。



ふと見ると、沙良の周りに多くの者が集まっていた。



口々に励ましの声を掛けている。



それに涙を流す訳でもなく、彼女は気丈に対応していた。



その姿からはもう、昨日の弱い彼女は消えていた。



しかし、それが少し、隆史の胸を痛めた。



本当は今にも泣き出したいのだろう。



今も、涙を必死で堪えているのだろう。



そんなことを考えれば、今すぐにでも連れ出して泣かせてあげたい。



しかし、それは彼女の望むものではないから。



彼女がそれを拒むから。



ちっぽけな自分には、彼女の勇姿を見守ることしか出来なかった。



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