うしろの正面だーあれ
隣でキョロキョロと憂を探す沙良を、隆史は辛そうに見ていた。
しかし、声を掛けてやることも出来ない。
“憂はもう死んだんだ”なんて、自分でも言いたくなどなかった。
“憂はもう居ないんだ”
“憂はもう見えない”
いくつも言葉が浮かんでは、しゃぼん玉のように割れて消えた。
どんな言葉を掛けたって、沙良はその言葉を否定するような気がして
自分の言葉で、沙良を立ち直らせることが出来なくなるような気がして
見つからない憂を、それでも探す沙良が少しだけ怖かった。
薄い薄い硝子細工のように脆い君を、僕は息を吹きかけただけで壊してしまいそうで。