うしろの正面だーあれ



1時間程バスに揺られ、火葬場に着いた。



館内に入ると3つ、釜のような物が並んでいて、厚そうな扉で塞がれている。



憂が入っていくのは、どうやら左端の「1」番だった。



車掌のような帽子を被った男性が手を合わせ、何かブツブツと拝んでいる。



それに合わせて周りの者も拝んだ。



男性が再び口を開く。



手を合わせて送りましょう、と。



何を送るというのだ。



何処に。



送りたくなどない。



出来るならずっと手元に置いておきたい…。



それが無理でも。



どうしてこんな…



どうして、こんなにも簡単に別れるというのだ。



最後の最後に、顔を見ることさえ叶わないなんて。



もう二度と、会えなくなるのに。



世界は黒く、白い。



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