すべてはあの花のために⑥
四十三章 アヤメとヒナゲシ



 それが崩れ去っていく前の記憶。思い出は、いつでも俺の中にはある。


『忘れたとか言ったら、絶対許さないんだから!』


 忘れるもんか。
 ……絶対、忘れてやるもんか。



「……ーーー。ひなた」


 俺だけは、絶対に間違わない。





「父さん。……少し、いいですか」


 だって俺は、…………兄ちゃんなんだから。




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