すべてはあの花のために⑥

 そう言って見せてくるのは、ツバサがいつも左手の小指に着けている【シルバーリング】。そして、左耳に着いている【薄紫色のピアス】が二つ。


「ピアスは、中学になったら空けるんだーって、陽菜言ってたから。じゃあみんなで空けようなって言ってた。だから中学まではリングをあげようと思ってさ、誕生日に買ってやってたんだ」

「……中学って、早くないですか?」

「そうか? 別に校則厳しいわけじゃねえし、父さん母さん何も言わなかったから、俺らは空ける気満々だったけど」

「そ、そうですか……」

「……でもま、その前に眠っちまったけどな」


 そう言ってツバサは、シルバーリングに視線を落とす。


「……大丈夫ですよツバサくん」


 少しだけ寂しそうなツバサの手に、葵はそっと触れる。


「どうしてその指に?」

「え。……他入らなかったし」

「どうして左に着けたのでしょうか」

「……元々陽菜が、『左手の中指に着けるんだー』って言ってたから」

「そうですか。……うん。やっぱり大丈夫ですよ!」

「よくわかるように説明してくれ」


 葵はにっこり笑って説明してあげた。


「リングは、着ける指によって意味が変わってくるんです」

「え。そうなの?」

「実はそうなんです! ちなみにブレスレットも同様で、左右で意味が変わるんです!」
(※日向に教えてもらってから、いろいろと調べてみました!)

「……そうなのか」

「左手の中指にも、いろんな意味があります。『人間関係の改善』『家内安全』『協調性』。それをUPさせたい時に着ける場所なんです。そして左手の小指は、叶えたい『願い』がある時に。この左手の小指は、『願い』を実現する力があるみたいです」


「だから」とふわり笑いかけてやる。


「ハルナさんはツバサくんのこと、応援してくれてます。ツバサくんの願いを、必ず叶えてくれますよ」

「……ああ。そうだな」


 ツバサは葵につられて嬉しそうに笑った。


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