すべてはあの花のために⑥
四十一章 決められた道
絶対に録画しておかないと!
新学期。
「道明寺様! 明けましておめでとうございます!」
「はい。おはようございます」
「道明寺様! 今日もお美しい!」
「そんな。あなたの方がとっても魅力的で羨ましいわ?」
「道明寺様! 是非今度モデルになっていただけませんか?!」
「うーん。わたしなんかよりもきっともっと向いている方がいると思うの。ここにはモデル志望の子もいるようだし、その方に頼んでみてはどうかしら?」
「道明寺様! 今度〇〇〇〇〇(※古いアニメ)がリメイクされてするみたいなんです!」
「……そうなのね。教えてくださってありがとう(いや本当にね! 絶対に録画しておかないと!)」
年が明け、あっという間に2年生最後の3学期が始まる。肌を、冷たい風が突き刺さるように吹いた。
「(いや、多分突き刺さってくるのは冷たい風なんかじゃなくて……)」
葵はふと、生徒会室の方へと視線を向ける。別にそこにみんなが見えるわけではないのだが。
「(ははは。なんか『逃げるな』って視線というか、雰囲気というか。そんなのがひしひしと伝わってくるんですけど……)」
内心行きたくはなかったけれど、葵は大きくため息をついて、自分のクラスへと向かった。