すべてはあの花のために⑥

 一体どうしたのかと思ったら、頭に何かがそっと触れて、すぐに離れていった。


「え。ひなだぐん。いま。なにじだの」

「あはっ。めっずらし~!」


 葵はヒナタから引き剥がされ、カナデに羽交い締めにされる。ヒナタはというと、オウリからクロスチョップを受けて、ソファーの後ろで寝転んでいる。吹っ飛ばされた当の何かをしでかした本人は、満足そうに笑っていたけれど。


「え? え……?」

「ったく、アオイちゃん。油断も隙もないんだから。んーちゅ」

「……!?」

「あ。かわいい」

「滅びろ!」

「ぐはっ!」


 敢え無くカナデもあの世行き。そんなカナデをみんなが目撃して、みんなももうわけがわからず大暴走。

 ……しばらくお待ちください……▼



「はあ。はあ……」


 葵に襲いかかっていったアキラ、カナデ、アカネ、オウリ、チカゼは、敢え無くあの世行き。今は屍のように床へ倒れておりました。


「うん。ばっちり撮れた」

「見せて見せて~!」

「ん? はい」

「おお!」


 葵の華麗な技を、どうやらヒナタが動画に撮影してくれていたようなので、二人して爆笑。


「(あの二人、いつの間に仲良くなったんだろう……?)」

「(昨日あのあと何があったんだよ……)」

「(ち~ん……×5)」


 も、もう少々お待ちください……▼


 それから、なんとか復活したみんなは、突っ込みどころが満載だったのでいろいろ話を聞こうとしました。でも葵はやっぱり怖くって、ヒナタのそばからは離れられず。
 それがみんなの癇に障ったみたいで、ずっと睨まれてたけれど、葵は嫌われたんだと思って、余計ヒナタにしがみついていました。


「ほら。別に嫌ってるわけじゃなくて苛立ってるだけだから」

「……う、ん」


 そう言われて、葵はちょこんとソファーに座り直す。


「……あっちゃん」


 キサが、葵をぎゅうっと抱き締めてくれた。


「き、きさちゃ」

「嫌いに、なるわけないでしょ」


 涙声で。涙を流して。


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