すべてはあの花のために⑥
「はあ。はあ。……っ、最低! ほんと最低……!!」
「え? あっちゃん?」
「どうしたんだ、葵」
「あおいチャン……?」
「アオイちゃんどうしたのー……?」
「あーちゃん声大っきい!」
「うるせえよ!」
「葵。どうしたんだよ」
みんなは目が点になっているけど、ヒナタだけは葵の半分涙目の視線も華麗にスルーしていた。
「……っ、くっそ。みんな。わたしからもあるから聞いて!」
あまりにも勢いが激しくて、若干みんなは引いているけれど。
「わたしが家に駒扱いされてるのは、本当の子供じゃないから!」
――え。
「本当の親には捨てられたの! 気味悪がられて!」
……え。
「拾ってくれた人は、とってもいい人たちだったけど、今のお父様にお金と引き替えにわたしは道明寺に引き取られたの!」
え。
「なんでかっていうと、わたしが異常な子供だったから! 頭がよかったから! 他にも理由あるけど主にはそれ! 頭を買われたの! お金としか思われてないの! 以上! ごほっ。文句あっかこらあー!! ごっほごほっ」
息切れが半端ない葵も、咳き込みながらなんとか言い切った。
「えらいえらい。よく言えましたー」
「っ。けほ。うぅぅ~……。けほけほ。っうぅ~……」
はてさて、叫びすぎて咳き込みすぎて泣いているのか。みんなに嫌われるのが嫌で泣いているのか。はたまたヒナタの思い通りに動いている自分に悲しくなっているのか。もしくは絶対にバラさないでと懇願してるのかは……ご想像にお任せします。
「え。え? ちょ、待てよ」
「キム〇クかよ!」
「ちっげーし! なんだってお前…………え?」
「っ。うぅぅ~……」
「いや混乱してるだけだから。嫌ってないって」
ヒナタの膝の上で結局のところ泣いている葵である。
みんなは、驚きすぎて言葉が出ないだけなのだけれど。
「……嫌われたっ。もう明日から学校ごないっ……」
「違うから。今パニックなんだって。ていうか卒業式なんだから来なよ」
「あ。そうだった。……でも。ぎだぐないっ」
「……ったく、しょうがないな……」
「え? ひな――」