すべてはあの花のために⑥
「(みんながどう出るか、ちょっと疑ったオレがバカだったな)」
みんなは一瞬驚いたものの、強い目でヒナタを見てきていた。
「(……え。嫉妬じゃないよねこれ)」
そんなことを疑ってしまうけど、覚悟はできている証拠だった。
「(守られてばっかなんて性に合わないからね)」
大丈夫だって言ったじゃん。守ってあげるって。
「(危険? そんなの知らないよ。絶対に助け出してみせるよ。あんたを……あの家から)」
ヒナタの気持ちが伝わったのか、みんなが大きく頷いてくれる。
「(やっぱオレの友達最高)」
ヒナタも嬉しくなって、顔が綻んだ。
「はい。以上が今言えるところでした。お疲れ様ー」
「ずみまぜん……」
「どうやらこいつは、まだまだ言えない、オレらに嫌われると思ってることがあるみたい」
「え。なんでそんなのお前が知ってんだよ」
「どうやらその言えないことで最強にオレらに嫌われると思ってるらしい。(まあもしかしたら、危険なのがオレらってことがそれに入ってるのかもしれないけど)」
「え。無視?」
そう尋ねてスルーされたチカゼは、ちょびっと泣いた。
「あ。そうだ鍵。返して」
「……? はい。ちゃんと閉めじめでぎだがら」
「いやうん。信用してるし。……何泣いてるの? もう泣かなくていいでしょ」
「だっでえー……」
「はいはい。嬉し泣きだったんだね。よかったねー。みんなに嫌われなくってー」
「うぅ~……」
「だから! 何でそんなに仲良いんだよ!」
「あおいチャン何!? 鍵って!」
「あ、あーちゃん。……ま、まさか……」
「ヒナくん家に……」
「泊まったんだな……」
「……葵が。お泊まり……」
「きゃー! 同棲みた~い!」
キサがそんなことを言ったから、またしばらく生徒会室が騒がしくなってしまった。
「まあこいつもこんなんだし、今日も遅いし。またにしようよ。オレ眠いし」
「え。ひーくん爆睡だったじゃん。全部の、授業……」
「え。お、おいヒナタ! 何したんだよ昨日!」
「あー腰痛ーい」
「……!? ヒナくん! まずはきちんとお付き合いをはじめてからじゃないと、同棲は認められません!」
「おかんかよ」
「ひなクン! 何あおいチャンに手出してんのお!」
「え。どちらかというと出されたんだけど」
(※ビンタ)
「おい、マジかよ……」
「うん。別に変なことしてないよ? ね?」
「え? う、うん。特には?」
「……でも明か仲良くなってんじゃん。なんで? 仲直りできてよかったけどさ、異常に仲良しになってるし。何したんだよ……」
「あ。翼が壊れた」
頭を抱えてしゃがんでいるツバサを、キサが突いて遊んでいる。
「葵。今度は俺のとこに泊まりに来て?」
「え。遠慮する」
「がーん!」
アキラもしょげて床にいじいじし始めたのを、キサがまた突いて遊んだ。