すべてはあの花のために⑥

 式が進み、あっという間に終盤。


「(わたしにも、もう一度彼に渡す時が来るだろうか。……本当に幸せな、わたしの未来を)」


 式が無事に終わり、片付けもあっという間に終わったので、葵はアキラに少し時間をくれるようお願いをした。


「……アキラくんは、やっぱりわたしと結婚したいですよね」


 誰もいないのを確認し、葵は小さく尋ねる。でもそれは、わかりきった質問だった。


「そうだな」


 だってアキラは、葵が好きなのだから。


「……酷く、お前に振り回されてるなと思う」

「ご、ごめんなさい」

「でもお前は嫌なんだろう?」

「……いいえ。わたしはアキラくんが好きだから」

「ううん。そう言ってても苦しいこと、ちゃんとわかってるから」

「っ……」

「家が関係してるとか、婚約者候補とか、もう関係なく考えよう。まどろっこしい」

「え……?」

「俺はただお前が好きだから。……お前が嫌なら、俺はこの縁談を何が何でも切るよ」

「アキラくん……」

「今度はこっちから、お前だけに申し込む。家なんて、道明寺なんていらない。……俺が欲しいのは、お前だけだから」

「……そう、言っていただけでよかった」


 思わず泣きそうになりながら、葵はアキラにあることを話した。


「どうか。よろしくお願いします。アキラくんっ」

「そんなの当たり前だ。……皇が、お前を助けるよ。道明寺には屈しない」


 そう言うアキラに、葵は苦笑いしか返せなかった。


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