すべてはあの花のために⑥

だってわたし、めちゃ強お嬢さまって設定だし!


 3月1日。講堂には多くの卒業生の門出を祝おうと、たくさんの保護者や生徒、関係者で詰め寄っていた。
 式が順調に執り行われていく中、卒業証書を一人一人、理事長が手渡していく。


 ――時に、皆様は覚えておられるだろうか。
 桜をSクラスで卒業すること。それが、どういう意味を成すのか。

【大手企業への内定】【有名大学への進学】【起業者への全面的フォロー】【芸能界へスカウト】など、その他諸々。
 Sクラスに在籍し、卒業する資格を得たものには事前に、理事長から書面で個人に【多くの未来の道標】を渡されている。

 この卒業式でSクラスの生徒は、自分がどの道へ進むのか、決定した上で壇上に上がる。
 卒業証書をもらう前、Sクラス卒業生からは理事長へ【たった一つの道】が書かれた書面を。自分が選択した未来を、しっかりと手渡すことになっていた。

 もちろんそれを全て蹴ることも可能だ。それを選ぶのはもちろん各々の自由。
 その選択が幸せか不幸せか。それを選ぶことの出来る生徒たちだと。理事長はそう信じているのだから――…………。


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