すべてはあの花のために⑥
sideミノル
そのあと、やけに遅かった葵とヒナタがバラバラに部屋に帰ってきたので、何をしていたのかとみんなは問い質した。
「ん? 特には?」
それに対して葵がケロッと言うもんだから、みんなはほっとしてたけど。ヒナタだけはちょびっとだけムスッとしてたり。
「それじゃあ、また来年度も一緒のメンバーだったら頑張ってねー」
そんなぬるっとした感じで、お疲れ様パーティーは終了した。
「……葵ちゃん、よかったの?」
「はい。大丈夫ですよ。足掻いてやるので」
にっこり笑顔とともにそんな台詞を聞けて嬉しかった。
葵が仮面を着けて先に帰ったあと、ぞろぞろと他のメンバーも帰っていく中。
「理事長。ちょっと話いいですか」
「同じく」
お揃いのピアスを着けた二人が揃っているのが見られて、勝手に頬が緩む。
「うん。いいよ? それじゃあ、理事長室で話そうか」
――――これでようやく全員だ。
「(ぼくは申し訳ないけど、賭け事に負けたことないからね)」
にやつく顔を押さえながら歩いていると、兄弟に気持ち悪がられたけど。
「(……受け身ばかりは性に合わないからね)」
――――さあ、機は熟した。