すべてはあの花のために⑥

sideミノル


 そのあと、やけに遅かった葵とヒナタがバラバラに部屋に帰ってきたので、何をしていたのかとみんなは問い質した。


「ん? 特には?」


 それに対して葵がケロッと言うもんだから、みんなはほっとしてたけど。ヒナタだけはちょびっとだけムスッとしてたり。


「それじゃあ、また来年度も一緒のメンバーだったら頑張ってねー」


 そんなぬるっとした感じで、お疲れ様パーティーは終了した。



「……葵ちゃん、よかったの?」

「はい。大丈夫ですよ。足掻いてやるので」


 にっこり笑顔とともにそんな台詞を聞けて嬉しかった。
 葵が仮面を着けて先に帰ったあと、ぞろぞろと他のメンバーも帰っていく中。


「理事長。ちょっと話いいですか」

「同じく」


 お揃いのピアスを着けた二人が揃っているのが見られて、勝手に頬が緩む。


「うん。いいよ? それじゃあ、理事長室で話そうか」


 ――――これでようやく全員だ。


「(ぼくは申し訳ないけど、賭け事に負けたことないからね)」


 にやつく顔を押さえながら歩いていると、兄弟に気持ち悪がられたけど。



「(……受け身ばかりは性に合わないからね)」


 ――――さあ、機は熟した。


< 231 / 251 >

この作品をシェア

pagetop