すべてはあの花のために⑥
わたしなんかいらない
放課後。
「……3月1日の卒業式はそういう動きで行う」
「でも挨拶するのはアキだけなんでしょー?」
「そうだな。まあ司会はいるが」
「オレたちは、当日は壇上の袖で機器の調整とか証書の準備とか、裏方をしたらいいんだろ?」
「体育館じゃなくてよかったよねえ~」
「うんうん! 講堂で済むから、椅子とかの準備はいらないし!」
「在校生も、うちは全員参加だし」
「あと、大人数で動くからきちんとリハもしなければいけないということくらいか」
「前日までは在校生と卒業生は別々でリハしてもらって、前日に卒業生も混じってリハーサル……っと。そんな感じ?」
「そうだ。あと半月でそこまでやるからな。時間はあんまりないが、そんなに準備することもないから、あとは段取りを去年のを見ながら確認して、スムーズに行えばいいだろう」
「あとあれ。プログラムも作らないといけないねー」
「ああ。それは葵の仕事だな。きっとすぐ作ってくれる」
みんなは一つ空いた席を見つめる。
今日の会議に、葵は参加していなかった。
「あっちゃん、よっぽど大変だったんだね……」
みんなには、葵からメッセージが届いていた。
┌ ┐
みんな~……。ごめんよおおおぉ。
めちゃくちゃいろんな人に寄って集られ
酔いましたあ……。おえぇぇー……。
ちょっと、気分が悪いので
迎えを呼んで帰ります。
会議出られなくてごめんねえ。
決まったことあったら教えてねえ~……
それでは今日はこのままドロンします!
さらばじゃッ!!
└ ┘
「最後めちゃくちゃ元気っぽいけどな」
「まあ、おれらも実際大変だったよねえ……」
「ほんと。結局のところ捕まったら終業まで離してもらえなかったし……」
「トイレに行こうと思ったら捕まって、死ぬかと思った」
「え。アキくん、大丈夫だったの?」
「ずっとモジモジしてた」
「あ、そう……」
結局のところ、みんな捕まったようだ。