すべてはあの花のために⑥
「それじゃあ今日はこの辺にしておこう。また明日から、プログラムや機材の確認をしていこう」
今日の会議はこれで終了。みんな片付けをして、帰る支度をしている。
「ていうかアキ! アオイちゃんに赤色のリボン結んだでしょう!」
「ん? それがどうしたんだ?」
「何勝手に巻いてるのお!」
「そうだよお!!」
「だって俺葵好きだし」
「アキがちゃんとチョコ用意してねえから、勘違いしちまったじゃねえか!」
「だったらお前も赤のリボン持ってくればよかったじゃないか」
図星を言われ、みんなはぐっと言葉に詰まる。
「そういえばさ秋蘭」
「ん? なんだ紀紗」
「あっちゃんからの返事は?」
「ん?」
「いや、イエスかノーぐらいは言えるんじゃないの? 手紙で教えてもらったんでしょ?」
「……! 何で知ってるんだ!」
「いや、あんたらあたしがいたのにあの時勝手に盛り上がってたけど、あっちゃんから後でそう聞いたし」
「え。そうなのか?」
どうやらアキラの中でキサの存在が消えていたようだ。
「……俺は、葵には振られたから」
これくらいなら言っても大丈夫だろうと思って、アキラはみんなのことを考えて伝えた。
「どうやら俺は振られたみたいなんだ」
「え。ちょ、アキ? それってどういうことよ」
「そのままだ。たとえこの婚姻が決まったとしても、葵の気持ちがないと意味ない」
ぐっと、アキラは手に力を込める。
「だから俺はもし結婚したとしても、葵の気持ちを全部もらうまで、攻める」
「秋蘭……」
「『赤』はそういうことだ。俺もまだあいつに攻めてるって、そういうこと」
不敵な笑みを浮かべて、アキラは生徒会室を出て行った。