すべてはあの花のために⑦

「それから体育祭ですね! 体育祭は、準備が大変でした」


 葵が話を切り替えて話すのに、みんなも合わせて頷く。


「そうだな。体育祭は大変だ」

「係を決めて、各クラスのテーマも決めて」

「特別プログラム決めで、フォークダンスの取り合いだし」

「業者の人と、打ち合わせしないといけないしー」

「前日の準備と、当日も大変! パパラッチが!」

「まあ、最後は片付けだろ。帰るまでが体育祭だからなー」

「なるほど。前準備が大変だったと」

「そうですね。わたしはヒナタくんと一緒に、去年は業者さんへの指示等をしていました」

「そうだね。そんなこともあったね」

「それは庶務だからですか?」

「いえいえ。みんなでそれぞれどれを担当するか決めるので、生徒会の仕事とは、関係ありませんよ」

「そうですか……」

「……? どうなさったんです?」

「いえ。もし庶務でなら、あおいさんと一緒に仕事ができると思ったんですけど。……なかなかそうもいきそうにないですね」


 レンが話している途中から、不穏な空気が漂っていた。最後の方は、レンも苦笑いしながら何とかそう誤魔化していたけれど。


「文化祭も同じ感じで、前準備が大変です」

「でも、実際当日の方が大変だったね~」

「そうだね。いろいろ大変だった覚えしかないけど、よくやったと思うわ」

「生徒会の皆さんは確か去年、スタンプラリーとバンドをされてましたよね? 毎年二つやるんですか?」

「ううん。去年は候補がなかなか絞れなくて二つやっただけー。一つやればいいんだよー」

「それからは修学旅行、クリスマスパーティー、バレンタインにホワイトデー。最後に卒業式と入学式の進行をして、一年が終わる」

「まあ入学式はほんとにそんなにすることないし、みんなが卒業してオレら四人になっても全然回せる」


 ヒナタがそう言うと、みんなが少し寂しそうな顔になる。


「え。何。今生の別れってわけじゃないんだからさ」

「そうだけどー。やっぱり中学の時も思ったけど寂しいー」

「あ。そういえば皆さんは中学の時から生徒会によく選ばれてましたね」

「だから、ほんとにみんなといる時間が長くて、楽しくて。……たくさん思い出作ろう! そうしよう!」


 結局のところキサが締めてくれた。
 そのあとみんなで片付けをして、午後の授業へと向かう。葵たちが話している間、先生たちは先生同士で親睦を深めていたみたいだ。


「あ。伝えるのを忘れてたんだけど、生徒会同士で親睦を深めたいんだけどって提案が他校から来てるんだよ」


 理事長が、まだ片付け中のみんなに声をかける。


「はあ? なんだよそれ」

「今までそんなことなかったのに、何で急に?」

「私もよくは知らないんだけど、その高校がぜひ桜の校風を見ていい刺激が欲しいらしいんだ」

「いい、しげき……?」

「どこ校なんですか理事長」


 みんなは、その問いの答えを待つ。理事長は、みんなの視線を受け止めながら、微笑んだ。



「――南。百合ヶ丘だよ」


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